Translate

2014年9月29日月曜日

ブロードチャーチ 殺意の町  ~Broad Church




『ブロードチャーチ~殺意の町』



WOWOWにて、8話まるごと(!)一挙放送されました。

34.2%という高視聴率のイギリスのクライムサスペンスドラマです。

海沿いの美しい街、Broad Churchで11歳の少年ダニーの死体が見つかります。
海岸で発見されたものの、飛び降り自殺ではなく他殺だと判明。
緊密で濃密な関係の住民たちの中のだれが犯人なのか?
事件当夜に不審な外出をしていた父親、いつになく死体発見日に寝坊した母親、思春期の姉。
トレーラーハウスに住んでいる犬だけが友達の不機嫌な女、ダニーが新聞配達をしていた販売店の店主、若くてイケメンな牧師、家で寝ていたのでアリバイのない父親の同僚、姉のバイト先のホテルの美人オーナー。
誰もが犯人の可能性がありました・・・。




警部補 アレック・ハーディ役のDavid Tennant 





しかし第一話を観たときは、UKのドラマだと事前情報でわかっているのに(David Tennantの主演ですよ…)凄くAmerican!な空気いっぱいで非常に違和感を感じてしまいました。(アメリカ版の予告編のコメントにも、「アメリカのドラマのリメイク作品かと思った」とありました。)

〈ハグやキスが多過ぎる〉 ➡UKのドラマでこんなにベタベタした家族、友人関係の表現はとっても違和感。
〈殺された男の子、ダニーの母が美人過ぎる 〉➡UKのドラマのメインキャラはあまり典型的な美人は出てこない。(しかし、巡査部長のエリー・ミラーは期待通り?に普通感満載)
〈町がキレイ過ぎる〉 ➡UKのドラマのライティングはどこか暗めですが、このドラマはキラキラした画面で小奇麗。
〈シーンが間延びしている〉 ➡全8話完結のためか、話の展開が妙にゆっくり。UKドラマは1時間あるいは2時間でサクサクと進み、密度が高いのがふつう。

字幕版ではなく吹き替えでの放送は実際の俳優陣の声が楽しめなくてもったいないし、David扮する警部補のアレック・ハーディは以前の事件で何か失敗した過去があるようで、その辺をネチネチ追求される苦しい展開になるのではと思われましたが・・・。




結論

とても面白かったです。
特に、話が進むにつれてドンドン目が離せなくなって、最終話は2回観てしまいました。

証拠から犯人を追いつめるというよりも、「怪しいor後ろ暗い過去がある」を犯人扱いして追い詰めちゃったりするハーディ警部補とミラー巡査部長。
父親のマークは予想通りにホテルの美人オーナーと事件当夜に不倫していたし、新聞配達店店主のジャックは未成年(16歳未満)と関係を持った前科があったことを報道されてしまいますが、これはよくあるパターンで音楽教師をしていた当時に教え子と関係を持ち、有罪になったものの、その後はちゃんと教え子と結婚していたというもの。
少年たちとスキンシップしていた牧師は、ただスキンシップして親身にしていただけ。
そんな中、トレーラーハウスに住むスーザンの夫は自分の長女をレイプし殺害し、自殺していたという過去が判明し、精神的に不安定な様子のスーザンが犯人かと思われましたが、スーザンは海岸で父親マークの同僚のナイジェが死体遺棄したのを目撃したと証言します。(実は、ナイジェはスーザンの生き別れた息子なんですが・・・。)

しかし、ダニーのスマートフォンのシグナルが復活し、犯人を追跡したハーディ警部補は「もう疲れた」と語る犯人と遭遇。犯人はミラー巡査部長の夫のジョー・ミラーだったのです。

このドラマの特別な点は、犯人が判明してからの展開を丁寧に描いているところ。
ミラー巡査部長は夫を責めて激しい暴力をふるい、ダニーの母親には「なぜ気づかなかったの?」と問いかけられ、言葉を失います。
「なぜ気づかなかったの?」とは、ミラー巡査部長自身がスーザンに投げかけた言葉。

昨日まで楽しく暮らしていたはずの家庭は壊れ、町を去り、刑事を辞職するミラー巡査部長。
同様に不静脈が出ているハーディ警部補もこの事件を最後に警察を去ることになります。

結局、他人の心の中は誰にもわからない。




Broad Churchの予告編





また、同じく主演David Tennantで、『Gracepoint』というタイトルになって10月にアメリカでリメイクされて放送されます。



Gracepointの予告編




こちらのミラー巡査部長はぐっと美女になってアンナ・ガン。いえ、UK版のミラー巡査部長も味わいがあっていいのですが・・・。
事前に出ている評価は『Killingアメリカ版よりいい!』とのことです。
舞台になる町もUK版と同様の静かな海辺の町で、殺されるダニーも、スーザン役も、雰囲気も顔もそっくり。
なによりカメラワークがUK版と似ていて、UK版のファンが観ても違和感なく観れそうです。特にダニーの母親べスが遺体発見の一報を聞いて海岸へと駆けつける場面は、そっくりそのままです。UK版へのリスペクトが感じられて好印象。


最終話で不静脈により退職するとされていたハーディ警部補ですが、高視聴率を受けて続編が撮影中で(体力がついて手術が成功した?)、続編の次回作もwowowで放映決定しているみたいで、楽しみです。

David Tennantの戸惑ったような、それでいて何かを見透かしているような瞳が印象的です。彼の瞳は深い藍色にみえますが、海辺のシーンのアップでは完全に茶色。不思議です。









  

    2014年末か2015年初めに帰ってきます!
 photo by Broad Church 2  Facebook




photo by Broad Church 2  Facebook




どうやらDaily Mailによると、Broad Church 2 でもダニー殺害事件は尾を引いていて(これがメインなのか否かは不明)、ジョー・ミラーの釈放を試みる弁護士、掘り返されるダニーの遺体、そして裁判があるという・・・。引き続きハーディ警部補、ミラー巡査部長(まだ刑事でいるか否か?)、ダニーの家族たちも皆出演するようです。

かなり重苦しくなりそうな予感。

2014年9月22日月曜日

シャーロックは3人兄弟? モリアーティ役のアンドリュー・スコットは帰ってくる?



未公開NG シーンがコンプリートBOX発売予告とともにやってきました!







長年連れ添った夫婦?



 コメント欄に"They bicker like an old married couple"とあります。Bicker=つまらないことで口げんかする ということなので、やはり、ますます長年連れ添った夫婦者の風格が出てきたっていうことでしょうか。やはり、国は違えど、皆同じことを感じるのですね・・・。
NGシーンを見てしまうと、物語の魔法が解けてしまうので、あまり好きではないのですが、『Sherlock』に関していえば、もうこれはミステリードラマというより、ベネデイクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンのバディーものの物語と化していますので、問題ないかなと。


今回のコンプリートBOXですが、UKで11月4日発売となっています。
£109.99のお値段は高いのか安いのかわかりませんが、
The Complete Seasons 1-3  Limited Edition Gift set demonstratesで、限定版のアートカード(水彩画風?のシャーロックとワトソンのカード)、ミニチュア版のふたりの胸像、半身像が全エピソードのBlu-ray,DVDセットに付いてきます。もちろん、NGシーンやBehindシーンも満載。



Sherlockは3人兄弟?



スティーブ・モファットは、モリアーティのカムバックを否定しています。
(あれだけキッパリと死んだので、当然かも・・・)
その一方で、今年の始めから3人目の兄弟の存在が噂されはじめています。しかもトム・ヒドルストン!?


こんな感じでSherlockに登場?




トムの名前が上がっていますが、マーク・ゲイティスは『トムはSherlockにとって素晴らしい存在になるよ。それは確かだけど、彼は今のところ映画にだけ出ているしね・・・』と、言葉を濁していますので、残念ながらトムが出ることはないかと。3人目の悪に転じた兄弟がトムなら、面白そうですが。

そして、マーク・ゲイティスは何か壊滅的なプランをかなりダークなクライマックスに向けて用意しているとのこと。



アンドリュー・スコットは視聴者の妄想"Hardcore Story"を読んでいません・・・



追記。
モリアーティ役のアンドリュー・スコットは、Sherlockのファンがハードコアなファンフィクションを書いて楽しんでいることを知っているそうです。(もちろん、モリアーティとシャーロックの絡みもあるでしょう・・・。)しかし、アンドリューはファンがフィクションの物語を送ってきても『読んでないよ。書きたいと思うこと自体はおかしいとは思わないけれど、僕に送ってくるっていうのはちょっと変じゃないかな・・・』と語っています。
なので、アンドリューにFan fictionを送っても読んでもらえないそうですよ~。




                                シーズン4の脚本を読んだかって?   No Answer for that!
photo by BBC ONE Facebook




    Season 3 
photo by BBC ONE Facebook


  何のサインでしょうか?メロイックサインではない・・・。
photo by BBC ONE Facebook

2014年9月19日金曜日

今月はミステリーの当たり月☾  『カルヴィニア』1禁忌 2誘拐  JONATHAN HOLT



舞台はヴェネツィア。

第1作は『カルヴィニア 1 禁忌』 THE ABOMINATION             
第2作は『カルヴィニア 2 誘拐』 THE ABDUPTION

作者はオックスフォード卒の広告会社クリエイターであるジョナサン・ホルト  ~JONATHAN HOLT




登場人物はイタリア憲兵隊刑事部大尉                カテリーナ・ターポ
同じく    イタリア憲兵隊刑事部大佐                アルド・ピオーラ
         イタリア駐留米軍少尉                                   ホリー・ボランド
ソーシャルネットワークメディア〈カルヴィニア〉の創設者       ダニエーレ・バルボ
元CIAヴェネツィア支局長                         イアン・ギルロイ


カルヴィニアとは、ヴェネツィアの街を細部まで緻密に再現した3Dのミラーワールドであり、ユーザーは高い匿名性が確保され、インターネット・ストーキングと同じ手法で他のサイトに匿名のメッセージを残したり、暗号化したメッセージを送ることもできる。


(濃密で複雑なお話なので、まずは登場人物のイメージを中心にご紹介)



カテリーナ・ターボ  憲兵隊刑事部大尉



カテリーナは第1作でピオーラ大佐との不倫関係解消後、第2作の始めでは殺人事件の捜査から外れ、ヴァレンティノのデザインの洒落た憲兵隊の制服を着ているのが屈辱。不倫相手のピオーラ大佐に捜査のコンビを解消されたため、セクハラで訴えをおこし、女性更衣室のロッカーには「売女、とっとと失せろ」と落書きされ、なかに犬の糞が入っていたり、鍵穴に小便をかけられる嫌がらせを受けるはめに。
が、本人は堂々としたもので、カルヴィニアで既婚女性のふりをしてあとくされのない情事の相手をさがしてエンジョイ、ホリー・ボランドとの関係を利用して殺人事件の捜査にうまく復帰。
第2作では、ハッカーによって情事の相手に撮影された裸の写真をネットにばらまかれ、拡散してしまったものの、本人はあわてず騒がず。事件解決後には、「あれはきみの写真じゃないと言うやつもいたんだ。きみは部署で一番でかいタマを持っているはずだが、写真の女にはそれがない」と称賛される。

〈カテリーナ・ターボ大尉はイタリアの至宝、モニカ・ベルッチのような美女のはず。この眼力はカテリーナそのものです。
カテリーナはまだまだ駆け出しという設定なので、ちょっとお若い時のベルッチさんで!〉





イタリアとアメリカの2重国籍を持つ(実は第2作ではこの点が重要な要素となってきます)
ホリー・ボランド  米軍少尉



第1作では優秀な頭脳を駆使してカテリーナとともにクロアチアから脱出、敵もうまく片づけます。セクハラしてくる同僚は膝蹴りで対処、脅しをかけるために人身売買業者のペニスを引っ張り出し(!)カテリーナとふたりで切り落とすごむのもいとわない冷静さと大胆さをあわせ持つ。
第2作では、敵?の魔の手に落ちて酷い拷問を受ける。
カルヴィニアの創設者ダニエーレといい感じになるものの、本人はレズビアンなため苦悩中。(ややこしい・・・)


〈ホリー・ボランドはジェシカ・チャステイン。
この押しの強くなさげでand芯の強い軍人魂を感じるのがピッタリ!〉





アルド・ピオーラ  イタリア憲兵隊刑事部大佐 




このピオーラ大佐は仕事のできる切れ者。しかしキレイな足の野心的な部下カテリーナ・ターボの魅力にころりと参り、すぐに不倫の関係にもつれ込みますが、2人の現場の写真を撮影され(CIAの陰謀?)、慌てふためいて愛してると宣言していたカテリーナとの関係をあっさり解消。「あれは無分別で不適切で軽率な行動だったんだ」と冷酷に言い放ち、「罠にはまったおれがばかだった」とのたまいます。
第1作では切れ者の片鱗も見えなかったのですが、(カテリーナとの情事に溺れていただけ)、2作目では不倫騒動の余波で妻とは家庭内別居のような扱いを受けつつ、事件ではそこそこな活躍を見せます。

〈ピオーラ大佐はBBCのドラマ『ローマ警察殺人課アウレリオ・ゼン』よりZen役のルーファス・シーウェル Rufus Sewell がイメージそのもの。
優柔不断なような、それでいて決めるときは決めそうな雰囲気が出ています。〉



カルヴィニアの創設者、ダニエーレ・バルボ。
名門のバルボ家に生まれるが、6歳のときに誘拐され、両耳と鼻を切り落とされる。
10代のころからハッキングにかかわり、自閉ぎみ。
"Tシャツとチノパン姿、肩まで伸びた髪が耳を覆い隠し、鼻があるはずのところはたいらで、皮膚が引きつって、へそのように渦を巻いている。" なかなか複雑な人。


〈ダニエーレ・バルボは同じ名前のダニエーレ・ファヴッィリさんでしょうか。 Daniele Favilli





元CIAヴェネツィア支局長でホリーの心の師となるイアン・ギルロイ。




ダニエーレ・バルボが幼いころ誘拐された事件の捜査にも係わっていた。
ホリー・ボランドを助けているうちに、父娘のような絆が生まれる。

〈イアン・ギルロイ元局長はキーファー・サザーランド。
元とかいってますが、今でも十分現役で、色々と画策し実行している人物。〉




Ⅰ 禁忌 THE ABOMINATION


Canal Grande Chiesa della Salute e Dogana dal ponte dell Accademia.jpg
"Canal Grande Chiesa della Salute e Dogana dal ponte dell Accademia" by This Photo was taken by Wolfgang Moroder. Feel free to use my photos, but please mention me as the author and send me a message. - Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.



イタリアのミステリードラマでもお馴染みなように、イタリアには警察がいくつもありますが、歴史的にカラヴィニエリが一番古く、規模も大きいそうです。カテリーナ達が所属するのもカラヴィニエリ。



カラヴィニエリのパトカー アルファロメオ カッコいいです♪
Alfa-Romeo159-Carabinieri-di-Roma.JPG
"Alfa-Romeo159-Carabinieri-di-Roma" di Rundvald - Rundvald. Con licenza Public domain tramite Wikimedia Commons.


フィレンツェのカラヴィニエリ

Firenze.Carabinieri01.JPG
"Firenze.Carabinieri01". Con licenza CC BY-SA 3.0 tramite Wikimedia Commons.


 カラヴィニエリの制帽 カテリーナも着用
Berretto Carabinieri.jpg
"Berretto Carabinieri". Tramite Wikipedia.


普段はこんな感じ? カテリーナはスカート姿














お話は司祭の格好をした女性の死体が発見されたことから始まる。
その女性の連れの女性もなぜか射殺され、カルヴィニアの創設者ダニエーレからの情報提供により、事件は旧ユーゴで行われたレイプ・キャンプへと繋がっていく。ソラヤという女性が自分を強姦した男のひとりはクロアチア軍のアドバイザーのアメリカ人だと証言。
憲兵隊カラヴィニエリの女性大尉カテリーナと米軍少尉ホリーは、ソラヤの供述書とレイプによって生まれた娘のメリナを確保するためにクロアチアへ向かうが、クロアチア軍の演習に巻き込まれた事故に偽装されたふたりの暗殺が計画され、爆撃を受ける・・・。

このクロアチアでの逃避行の立役者はホリー。
軍人ならではのテクニックで逃げ切り、冷酷に敵を排除します。

第1作の主役は完全にカテリーナとホリー。ピオーラ大佐も最後にチラリと協力しますが、とにかく女性への犯罪を女性がプロフェッショナルに解決。




            クロアチアの風景。たぶん、こんな山や林や野の中を逃避行。

            
            美しいクロアチアの街





Ⅱ 誘拐 THE ABDUCTION





米軍少佐の娘ミアがよりにもよって、スワッピング・パーティの場で誘拐された。
誘拐犯の目的は何なのか?なぜならイタリアでは身代金の支払いをすると罰せられる誘拐対策法が存在する。これは、『ローマ警察殺人課アウレリオ・ゼン』のエピソードにもあるが、誘拐産業を成り立たせない目的のため。(イタリアはマフィアでも有名です)
誘拐犯はカルヴィニアを通してメッセージを送り付け、CIAの強化尋問(拷問ではないという)"拷問メモ"➡グアンタナモ基地でテロリストの尋問に実際に使用されている尋問方法の手法により、痛めつけられるミアの映像が公開される。犯人は政治的な意図をもってアメリカの軍人の娘を誘拐したらしいことが判明する。

ダニエーレの協力により誘拐犯の居場所を突き止め、ふたりの誘拐犯は射殺されるのだが、犯人の死体が2体のみだということにカテリーナとホリーは疑問を持つ。なぜなら、誘拐の折に監視ビデオ映像に映っている犯人像と異なるからだ。

残る犯人を追いつめようとして、逆に囚われの身になり、拷問を受けるホリー。
行方不明になったホリーを懸命に探すカテリーナ。
ホリーはとんでもない相手に囚われ、強化訊問にさらされていた・・・。



誘拐されたミアは、スワッピングパーティに飛び込んでいく(見学のみ)軍人の娘という立場におさまらない反骨精神の持ち主。ストックホルム症候群や、リマ症候群(犯人が人質に感化され、傷付けずに解放した日本大使公邸占拠事件による)を思い出して、拷問する犯人の立場を理解して勇敢に立ち向かう16歳。
このシリーズに出てくる女性たちは、とにかく骨のある女性ばかりで、1,2巻とも女性の活躍が中心で、物語の視点もほぼ女性からになります。しかも、作者のホルトは踏ん切りのいい勇ましい精神をもつ女性を描いているのでとても爽快♪
この物語の女性たちはウジウジなんて全くしない。
恋愛や仕事がうまく立ち行かなくなっても、さっさとmove on!していくのです。男性陣はあくまでも助演です。

対する男性陣、ピオーラ大佐は事件の解決に奔走、同時に米軍基地で発見された人骨の謎にも挑むのですが、カテリーナと再び一緒に捜査していることを妻に正直に告げ、家から追い出されてホテル暮らしになります。物語の最後にカテリーナに愛を告げますが、愛よりピオーラ大佐とは殺人事件の捜査で頑張りたいカテリーナに軽くNOと返されるはめに。
(そもそも大佐は何度も不倫歴のある既婚者で、前作で妻にばれたときの対処がカテリーナに酷過ぎました)
一方、カルヴィニアの創設者ダニエーレは、事件を通してカテリーナやホリーと交流し、誘拐のトラウマによって自閉してきた心がだんだんと開いていき、新たな人生が開いてきます。

次回第3作で人間関係、恋愛関係がどう変化していくのかは不明ですが、女性陣にはこの潔さをどこまでも保ち、クールに突っ走ってもらいたいと思います。






                                           アメリカ陸軍のLegion pin



                 ホリーもこんなユニフォーム姿なはずです




  ベネツィアのゴンドラ




  ロマンチックな夜のベネツィア

2014年9月9日火曜日

今月はMysteryの当たり月☾ 『ハリー・クバート事件』

『ハリー・クバート事件』  ジョエル・デイケール著






スイス人の作家がフランス語で書いたアメリカを舞台にしたエンターテイメント性の高いミステリー。
(何だかややこしいですね?)
なぜスイス人がアメリカ北東部、ニューイングランド地方を舞台にした殺人事件、しかも登場人物全員ちゃんとアメリカ人のミステリーを書いたのかは、あとがきに解説されているのですが、作者は子供の頃にアメリカのメイン州で夏を過ごしていたため、アメリカになじみが深いのだそうです。
(スイスの夏はアメリカより断然過ごしやすそうなんですが・・・)


第2作に行き詰っていた新人作家のマーカスは、大学の恩師で心の友である大作家のハリー・クバートが、33年前に行方不明となり白骨化した死体が発掘された少女の殺人事件の容疑者として逮捕されたことに愕然とする。少女の遺体はハリーの家の庭から掘り起こされたのだ。
ハリーは少女ノラの殺害は否定するものの、当時15歳だったノラと恋人同士であったことを認め、証拠としてハリーの出世作である『悪の起源』のタイプ打ち原稿が遺体とともに出てきたため、有罪はほぼ確定かと思われた。
どうしてもハリーの有罪が信じられないマーカスは、原稿〆切2週間前にもかかわらず(どうせ何にも書けていないので)ニューヨークを離れ、ニューハンプシャーへ、ハリーのもとへと駆けつける。
"ごつい手をしたアフリカ系アメリカ人"の州警察殺人課巡査部長のガロウッドと出会い、少しずつ事件の真相を解明していくのだが・・・というストーリー。


こう書いてみると、なんだか重苦しくてよくある冤罪ミステリーのようなんですが、とにかくテンポがよくて飽きさせません。
1975年に事件が起きているので、話はよく1975年に戻るのですが、ダラダラと当時のエピソードを描写したりしませんし、お話の中ほどでハリーの容疑は解け、そのあと「これでもか」というほど第一容疑者が次々と現れ、パズルを解くときのように「カードの裏を読んで」犯行を見直すことになっていきます。
終盤になってのどんでん返しがひねりに捻ってあり、最後に真犯人がわかってからもう一度読み直して犯人の行動を確かめてしまいました。




主人公のマーカス・ゴールドマンのイメージは、『SUITS』に出演しているパトリック・J・アダムス。(たぶんユダヤ系ではないと思われますが)
ハリーは文才はありますが、足りない部分はちょっとズルして補ってしまう要領のいいところもある青年なので、『SUITS』でもハーバード大学出身と偽って働く彼がピッタリ。







ボクシングの心得もある恩師のハリー・クバートは、67歳。でも、私の中ではマシュー・マコノヒーのイメージ。
あと20歳老けさせてみてください。







あまり出てきませんが、マーカスの出版エージェントのダグラス・クラーレンはサイモン・ベイカーで!
マーカスのマンションで一緒にスポーツ観戦もします。







やたらとマーカスに電話をかけてきてゲイ疑惑を投げかける母は、スーザン・サランドン。
本当はユダヤ系のはずですが、スーザンしか思い浮かばないのです・・・。
~「マーカス、今からとっても大事な医学的質問をするから聞きなさい。おまえを9か月もお腹に入れていた母親に、正直に答えなさいよ。その部屋にゲイの男の人がいるの?」







非情なNYの出版社社長ロイ・バーナスキは、同じく『SUITS』からガブリエル・マクト。
マーカスがハリーの事件を追っていることを知り、実録本を書け!と迫ります。(映画化も狙う)。
書けなければor〆切に間に合わなければ、ハリーの文体をキッチリとコピーできる優秀なゴーストライターチームに本を仕上げさせる心づもり。







州警察殺人課巡査部長ペリー・ガロウッドなら、イドリス・エルバさん。
マーカスと一緒に真犯人を追います。原作のイメージ以上にイイ男過ぎるかも・・・。





魔性の少女?ノラはとても難しいです。美少女だけど、影もある。でも、すごく評判のいい女の子。 
アメリカ人で15歳なら結構大人っぽい気がします。ちょっと思いつきません・・・。



実はこの本はAmazon(Japan)の評価が大荒れ。
『久しぶりに徹夜して読んだ』から、『Mystery初心者向き、がっかりした』なんてコメントも。
私は☆5個を付けてきました。Mysteryはエラリー・クイーン、コナン・ドイル、クリスティーという基本から始まって最近はやりの北欧Mysteryにいたるまでかなり読んでますが、この『ハリー・クバート事件』は気軽に読み始めて止まらなくなりましたので。
悪い評価の意味がさっぱりわかりませんが、マーカスの母親、出版社社長たちとの会話が面白く、エンターテイメント性がある部分を冗長で余計なものだと嫌う方がいるのかもしれません。
(少し、ブリジット・ジョーンズの日記を思い出しました。)


読み終わってすぐに同じ主人公の続編が読みたくなる作品です。

2014年9月7日日曜日

Slash と Myles   "World on Fire" Fanpack ♪♪♪





新しいアルバム"World on Fire"が9月16日にリリースされます。

New Singleの『World on Fire』


ライブのオープニングにいい感じ?
個人的にはもっとメロディアスな曲のほうが好みですが、Slashのギターテクニックが光る疾走感のある曲です。




現在は AEROSMITH との#LetRockRule のライブ他、ヨーロッパやアメリカ、カナダ、オーストラリアを巡る世界ツアーが組まれています。12月には、ロンドンWembley Arena でのライブも。
アジアを忘れてます



Classic Rock Magazine presents
       Slash featuring Myles kennedy and The Conspirators "World on Fire" Fanpack
素敵なMylesの写真を掲載!そしてSlashの華麗なセレブとの交友関係図も載ってます。






今月はMysteryの当たり月☾  『その女アレックス』



実は日本はとても本屋の多い国じゃないでしょうか。
買い物にいくたびに本屋に立ち寄ってしまいます。徒歩圏内にいくつか本屋があるのが幸せです。
(アメリカで本屋を探すのは一苦労だったことを思い出します。でもAmazonがあるから大丈夫!)

ネット通販でも本は気軽に探せますが、確実にお薦めのシリーズ本でないときは、実際に本を手に取ってまずあらすじをチェックしたい。
次に中身を少し読んでみて、文章が読みやすいか否かを確認!
いくらあらすじが面白そうでも、まったく文章が頭に入ってこないこともあるのでこのお試しは必要です。


ここ何週間かで読み応えのある本にいくつか出会いました。その一つが、



『その女アレックス』 ピエール・ルメートル  ~"ALEX" Pierre Lemaitre








フランスミステリー。なんと表現していいか、とにかく異色。
「近年で最も独創的な犯罪小説。誰も物語の行方を予想することはできない」
毎週幾冊もミステリーを買ったり借りたりして、読み飛ばしているのですが、これほど読者の予想を裏切るミステリーは初めてかもしれません。
若い美女が激しい暴力を振るわれ、誘拐され、身動きの取れない小さな木箱に閉じ込められて(箱は空中2mの高さに吊るされていて、巨大ネズミが周囲をウヨウヨ)、犯人からは憎しみの限りをぶつけられるのですが、じつは美女自身も誘拐されて当然の後ろ暗い部分を持っているという・・・。


何が正義、何が真実かがころころ変わります。
読者としては、正義の側に気持ちを寄り添えて読むのですが、その正義の側がどちらなのかが???二転三転していきます。
詳細を書いてはいけないと思いますが、訳者あとがきに、「自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思う」とあります。
全くその言葉の通りです。


すでにパリでの映画化も決まっているそうですが、私のなかで主人公のカミーユ警部〈身長145㎝〉はダニエル・ラドクリフ




ドラマ 『A Young Doctor's Notebook』よりジョン・ハムと踊る?



Broadway  Musical  『How To Succeed In Business Without Really Trying 』より




もちろん、ダニエル・ラドクリフは身長145㎝ではなく、165㎝はあるそうですし、カミーユ警部はもっと年配のはずですが(しかも髪が薄いらしいです)、有名な画家である母親の妊娠中の喫煙の結果、低身長の小男として生きる宿命を背負ったカミーユ警部。彼は前作で妊娠8か月の妻を誘拐され、殺害されて生きる目的を失くしているという背景、その惑った感じがダニエル・ラドクリフのイメージにぴったりで、↑体格的にも小さいかと・・・。
それに食いついたら決して離れなさそうな捜査官のダニエルの姿が簡単に目に浮かびます。




実際はフランスの俳優陣を使うのでしょうが、部下でハンサムな上流階級出身のルイは英国俳優のルパート・ペンリー・ジョーンズ Rupert Penry=Jonesのイメージ♡
ルイには、先祖から受け継がれた家族の遺産、階級の遺産を感じさせる育ちの良さがあります。
カミーユ警部は"ヴェネツィア総督の姿をした聖マルコ"をルイの顔で描いてみようかと思ったりしています。









(フランスにもイケメン俳優はたくさんいます。リュック・ベンソンのドラマ『No Limit』のヴァンサンは群を抜いています!ただ、ルパートが思い浮かぶのです・・・)





巨体ですが女性にモテモテのパリ警視庁犯罪捜査部部長、ル・グエンジェラール・ドパルデュー。
ハムスターみたいに頬を膨らませるという場面があります。








そして節約に余念のない (3本分のタバコの吸い殻を一本のタバコにまとめる、新しくやってきた実習生にタバコ、ボールペン、小銭などをたかる、外食はおごりの時のみ、彼が新しいボールペンで新しいメモ用紙に書き留めている時は、事件の正念場を意味する) アルマンは、フランスの長寿ドラマ『女警部ジュリー・レスコー』に出演していたモタ役のアレクシス・デソーさんがピッタリ!
アルマンは至上の優しさでカミーユ警部を感激させるという一面もあり、モタのイメージも同じなのです。








全体的にはかなりダークな連続殺人を中心に進行するミステリーなので、コミカルな面は登場人物の描写だけなのですが(特にアルマンの行動)、陰惨な殺人が次々と出てくるなかでも勧善懲悪という救いがあり、最後にほろりとさせる物語です。



~フランス・ミステリーも"French Noir"と言えるのではないでしょうか?
『死のドレスを花婿に』『ニコラ・ル・フロック』 ~Nicolas Le Floch  他フランスミステリー ★
http://swaywynne.blogspot.jp/2014/12/nicolas-le-floch.html