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2014年9月29日月曜日

ブロードチャーチ 殺意の町  ~Broad Church




『ブロードチャーチ~殺意の町』



WOWOWにて、8話まるごと(!)一挙放送されました。

34.2%という高視聴率のイギリスのクライムサスペンスドラマです。

海沿いの美しい街、Broad Churchで11歳の少年ダニーの死体が見つかります。
海岸で発見されたものの、飛び降り自殺ではなく他殺だと判明。
緊密で濃密な関係の住民たちの中のだれが犯人なのか?
事件当夜に不審な外出をしていた父親、いつになく死体発見日に寝坊した母親、思春期の姉。
トレーラーハウスに住んでいる犬だけが友達の不機嫌な女、ダニーが新聞配達をしていた販売店の店主、若くてイケメンな牧師、家で寝ていたのでアリバイのない父親の同僚、姉のバイト先のホテルの美人オーナー。
誰もが犯人の可能性がありました・・・。




警部補 アレック・ハーディ役のDavid Tennant 





しかし第一話を観たときは、UKのドラマだと事前情報でわかっているのに(David Tennantの主演ですよ…)凄くAmerican!な空気いっぱいで非常に違和感を感じてしまいました。(アメリカ版の予告編のコメントにも、「アメリカのドラマのリメイク作品かと思った」とありました。)

〈ハグやキスが多過ぎる〉 ➡UKのドラマでこんなにベタベタした家族、友人関係の表現はとっても違和感。
〈殺された男の子、ダニーの母が美人過ぎる 〉➡UKのドラマのメインキャラはあまり典型的な美人は出てこない。(しかし、巡査部長のエリー・ミラーは期待通り?に普通感満載)
〈町がキレイ過ぎる〉 ➡UKのドラマのライティングはどこか暗めですが、このドラマはキラキラした画面で小奇麗。
〈シーンが間延びしている〉 ➡全8話完結のためか、話の展開が妙にゆっくり。UKドラマは1時間あるいは2時間でサクサクと進み、密度が高いのがふつう。

字幕版ではなく吹き替えでの放送は実際の俳優陣の声が楽しめなくてもったいないし、David扮する警部補のアレック・ハーディは以前の事件で何か失敗した過去があるようで、その辺をネチネチ追求される苦しい展開になるのではと思われましたが・・・。




結論

とても面白かったです。
特に、話が進むにつれてドンドン目が離せなくなって、最終話は2回観てしまいました。

証拠から犯人を追いつめるというよりも、「怪しいor後ろ暗い過去がある」を犯人扱いして追い詰めちゃったりするハーディ警部補とミラー巡査部長。
父親のマークは予想通りにホテルの美人オーナーと事件当夜に不倫していたし、新聞配達店店主のジャックは未成年(16歳未満)と関係を持った前科があったことを報道されてしまいますが、これはよくあるパターンで音楽教師をしていた当時に教え子と関係を持ち、有罪になったものの、その後はちゃんと教え子と結婚していたというもの。
少年たちとスキンシップしていた牧師は、ただスキンシップして親身にしていただけ。
そんな中、トレーラーハウスに住むスーザンの夫は自分の長女をレイプし殺害し、自殺していたという過去が判明し、精神的に不安定な様子のスーザンが犯人かと思われましたが、スーザンは海岸で父親マークの同僚のナイジェが死体遺棄したのを目撃したと証言します。(実は、ナイジェはスーザンの生き別れた息子なんですが・・・。)

しかし、ダニーのスマートフォンのシグナルが復活し、犯人を追跡したハーディ警部補は「もう疲れた」と語る犯人と遭遇。犯人はミラー巡査部長の夫のジョー・ミラーだったのです。

このドラマの特別な点は、犯人が判明してからの展開を丁寧に描いているところ。
ミラー巡査部長は夫を責めて激しい暴力をふるい、ダニーの母親には「なぜ気づかなかったの?」と問いかけられ、言葉を失います。
「なぜ気づかなかったの?」とは、ミラー巡査部長自身がスーザンに投げかけた言葉。

昨日まで楽しく暮らしていたはずの家庭は壊れ、町を去り、刑事を辞職するミラー巡査部長。
同様に不静脈が出ているハーディ警部補もこの事件を最後に警察を去ることになります。

結局、他人の心の中は誰にもわからない。




Broad Churchの予告編





また、同じく主演David Tennantで、『Gracepoint』というタイトルになって10月にアメリカでリメイクされて放送されます。



Gracepointの予告編




こちらのミラー巡査部長はぐっと美女になってアンナ・ガン。いえ、UK版のミラー巡査部長も味わいがあっていいのですが・・・。
事前に出ている評価は『Killingアメリカ版よりいい!』とのことです。
舞台になる町もUK版と同様の静かな海辺の町で、殺されるダニーも、スーザン役も、雰囲気も顔もそっくり。
なによりカメラワークがUK版と似ていて、UK版のファンが観ても違和感なく観れそうです。特にダニーの母親べスが遺体発見の一報を聞いて海岸へと駆けつける場面は、そっくりそのままです。UK版へのリスペクトが感じられて好印象。


最終話で不静脈により退職するとされていたハーディ警部補ですが、高視聴率を受けて続編が撮影中で(体力がついて手術が成功した?)、続編の次回作もwowowで放映決定しているみたいで、楽しみです。

David Tennantの戸惑ったような、それでいて何かを見透かしているような瞳が印象的です。彼の瞳は深い藍色にみえますが、海辺のシーンのアップでは完全に茶色。不思議です。









  

    2014年末か2015年初めに帰ってきます!
 photo by Broad Church 2  Facebook




photo by Broad Church 2  Facebook




どうやらDaily Mailによると、Broad Church 2 でもダニー殺害事件は尾を引いていて(これがメインなのか否かは不明)、ジョー・ミラーの釈放を試みる弁護士、掘り返されるダニーの遺体、そして裁判があるという・・・。引き続きハーディ警部補、ミラー巡査部長(まだ刑事でいるか否か?)、ダニーの家族たちも皆出演するようです。

かなり重苦しくなりそうな予感。