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2015年1月25日日曜日

『HANNIBAL』 Season 3予告編とマッツ・ミケルセン            Mads Mikkelsen♡



2015年の夏、『HANNIBAL』 Season3 が始まります。


日本はまだシーズン1のDVDレンタルまでこぎつけたばかりですので、気が早いのですが。
シーズン3のオープニングでは、ハンニバルはDr.ベディリア(Bedelia)とヨーロッパに滞在し、新たな被害者をハンティングしているようです。そしてウィルが彼の弟子にならないことに傷ついているハンニバル。












こちらが予告編。
ハンニバル(マッツ)のレザージャケット姿が嬉しいです。前髪もおろしているので、とってもナチュラルなマッツを見ることができます♡

ウィルがハンニバルに「許すよ」と言っています・・・。






























そして、シーズン3ではフランシス・ダラハイド役でリチャード・アーミテイジが出演することに!
"Tooth Fairy"と呼ばれる、人間を噛み切って殺すシリアルキラーです。

原作にも出てきた殺人鬼で、このドラマが原作の『ハンニバル・ライジング』『レッド・ドラゴン』などから忠実にエピソードを制作しているのがうかがえます。





リチャード・アーミテイジは映画『ホビット』の出演で有名ですが、私にとっては『MI5』のルーカス・ノース。
それにしても、ウィル(ヒュー・ダンシー)はイギリス人、ハンニバル(マッツ・ミケルセン)はデンマーク人、リチャードもイギリス人。アメリカのドラマで、アメリカのミステリーが原作ですが、自由な発想でドラマの世界を膨らませていく制作陣を尊敬してしまいます。







All photos by HANNIBAL Facebook



✿マッツ・ミケルセンの主演ドラマでお薦めなのが、『UNIT ONE』
デンマークのドラマで、シーズン4まで制作されています。
DVDがAMAZON.UKで英語字幕ありで販売されているので、パソコンなどでヨーロッパのDVD
を見ることができるなら、たっぷりとマッツ・ミケルセンを楽しめます!

マッツ・ミケルセンはレザージャケットを愛用する、ちょっぴりはみ出している刑事の役。
結婚して息子もいますが、つい他の女性と関係を持ち離婚、最終シーズンでは刑務所に半年間も囚人としてもぐりこみ、潜入捜査を行っています。
お話は、①事件が起きる②証拠をつかむ③容疑者を捜索・・・という感じに進行して妙なトリックもなく、シンプルに流れていき、英語字幕も簡単です。
『HANNIBAL』では見られない笑顔や自然な仕草が嬉しいドラマです☆彡




『強襲』 ~GAMBLE  新・競馬シリーズを応援します!


Horse Racing photo by Paul https://www.flickr.com/photos/vegaseddie/




日本で"競馬" といったら、競馬新聞片手にオジサン連中が一喜一憂しているギャンブル…というイメージしか湧かないのですが、UKでは違います。確かにギャンブルですが、もっとスポーツに近いもの。

ディック・フランシスの"競馬シリーズ" ミステリーは、私にとってシャーロック・ホームズやアガサ・クリスティを読み終えた後にたどり着いた最初の海外ミステリー。

コナン・ドイルやクリスティはミステリーの教科書的存在なので、その先のステップをなぜディック・フランシスに踏み出したのかは「?」なんですが(たぶん凄く流行っていたのだと思います)、『大穴』『興奮』『利き腕』などなど、夢中になって読んでいました。

けれどもディック・フランシスの高齢化に伴い、物語の勢いがなくなっていき、最近まではご無沙汰していました。フランシスの息子さんとの共著が出版されているのは知っていたのですが、過去の作品の良さを知っているからこそ、手が出ませんでした。

そして2012年にディック・フランシスが亡くなり、(R.I.P.)、その後に次男のフェリックス・フランシスが出した"新・競馬シリーズ"、『強襲』 ~GAMBLE です。










本屋で見かけて、訳者の後書きに「本書が売れてくれれば、この"新・競馬シリーズ"が続けて翻訳されることもあり得るだろう」と書かれていたので、応援の意味を込めて購入しました。
・・・「翻訳ミステリーを取り巻く状況は厳しいので・・・」とも書かれてあり、そういえば最近海外ミステリーの棚が狭くなっているので、海外ミステリーファンとしてはちょっぴり危機感を感じます・・・

内容はまさにディック・フランシス風をそのまま踏襲した文体で、主人公はストイックな元競馬騎手であるファイナンシャル・アドバイザーのニコラス・フォクストン。
グランドナショナル観戦中の彼の真横で同僚が射殺される。
フォクストンはこの同僚のインターネット・ギャンブルの借金返済に遺言執行者として頭を悩ませつつ、顧客の陸軍大佐から投資先のブルガリア土地開発の詐欺に関する相談を持ち込まれて調査していくうちに、さまざまな事件に巻き込まれていき、恋人や母親とともに暗殺者に命を狙われてしまう・・・というストーリーです。

同棲中の恋人の心変わりを疑ったり、年上の魅力的な調教師の女性から誘惑されたりとロマンスの方面でも頑張っています。

これはパスティーシュではなく、フランシス家の「ファミリー・ビジネス」。
なので、どこも変える必要はないのですが、どこまでもストイックに押しまくる主人公だけでなく、例えば個性豊かな女性警察官、検察官、検視医等々・・・を登場させればもっとひねりが加わっていいかもしれません。
最近のミステリー・ドラマでは強烈な個性の女性刑事が活躍しています。
『Closer』『VERA』『第一容疑者』『New Tricks』。
フランシスの物語の中では、女性はあくまでも守護される立場のみなので、そこがちょっぴり物足りないかな・・・と思います。

でも、「一文も読み落とせない」ほどではありませんが、この先どうなるのかが気になって読みすすめていくことが出来る本でした。


フェリックス・フランシス、頑張ってください!



Over Turn Race Horse Photo by Paul https://www.flickr.com/photos/vegaseddie/

2015年1月11日日曜日

『ナイトメア ~血塗られた秘密』 Penny Dreadful  3月からの新番組 エピソード1放送!



『ナイトメア ~血塗られた秘密』、"Penny Dreadful" のエピソード1がwowowにて放送されました。




3月放送スタートのドラマなので、超先取りのお試し放送です。
『ナイトシフト 真夜中の救命医』の続きでぼんやり見ていたら、とっても面白いドラマで目が覚めました!
(『ナイトシフト』は気恥ずかしいぐらいの型にはまった医療ドラマ。主人公がアフガニスタン帰りという点は新しいです・・・)






















BBCの制作だと信じ込んでいたら、MADE IN USA でビックリ。
画面の暗さ(ロウソクやオイルランプの灯りだけでの生活が彷彿とされます)、セリフでなく行動でみせる進行状況、ヴィクトリア時代のダークな雰囲気そのまま。











【エピソード1】
"切り裂きジャック"が跳梁跋扈していた時代、ついでに言うとシャーロック・ホームズが活躍していた時代("緋色の研究"が1881年)のロンドンでは怪奇現象が相次いでいた。
アメリカ出身の曲芸撃ちのガンマン、チャンドラー(J.ハートネット) はミステリアスな美女ヴァネッサとマルコム卿からある夜の仕事を依頼される。
真夜中に向かった先に待っていたものは、異様な姿の生き物。彼らはヴァンパイアの巣に踏み込んでいたのだ。
マルコム卿が殺したヴァンパイアの一体を解剖すると、甲羅を伸ばしたような皮膚の下にはヒエログリフの文字が描かれており、出典はエジプトの"死者の本"からであることが確認されたが、結局、探していたマルコム卿の娘は見つからず、次の興行先のパリへと向かうはずのチャンドラーだったが・・・。




画面左下がヒエログリフ





チャンドラー。ジョシュ・ハートネットです。女性にもてる明るい瞳のガンマンですが、名家の出身で暗い秘密を抱えていそうです。
ハリウッドから遠ざかっていたらしいのですが、存在感があります。
ただのイケメンではない。






ミステリアスで危険な美女、ヴァネッサ。
鋭い観察力を持っています。
エヴァ・グリーンです。






消えた娘を探すマルコム卿。
アフリカを探検していた有名な探検家。過去の過ちを正すことになる。
ティモシー・ダルトン。貴族のオーラがあります。








外科医のヴィクター・フランケンシュタイン。
ハリー・トレダウェイ。
マルコム卿たちが殺した異世界の怪物を解剖したあと、ついうっかり?フランケンシュタインを作ってしまったようです・・・。







ブローナ・クロフト。貧しいアイルランド人で、辛い過去から逃れてきた女性。エピソード2から出演。
イーサン・チャンドラーと絡んでいきます♡  ブローナはゲール語で"悲しみ"という意味。
『ドクター・フー』でデイヴィッド・テナントのコンパニオンをしていたローズ役のビリー・パイパーです!
こんなところで会えるなんて感激。








ドリアン・グレイ。死ねない耽美な人。途方もなく裕福だそうです。こちらもエピソード2から出演。
リーブ・カーニー。
美しい。








✿フランケンシュタイン、ドリアン・グレイ、ヴァンパイアと戦うヴァン・ヘルシングなどが盛りだくさんに詰め込まれていくらしい、ワクワクするファンタスティック・ホラー。
落ち着いたドラマなので、3月からの放送がとても楽しみです。
✿何やら税金の関係で、ロンドンではなくダブリンで撮影しているそうです。



ALL PHOTOS BY PENNY DREADFUL FACEBOOK

『禁忌』 フェルディナント・フォン・シーラッハ ~"TABU" Ferudinanndo von Schirach


フェルディナント・フォン・シーラッハの新刊、『禁忌』 ~"TABU"











問答無用ですぐに手にとり、購入するのがフェルディナント・フォン・シーラッハ。
そしてこの『禁忌』は、「法廷劇」や「謎解き」だけではなく完全に"文学"な作品です。
静かに語られていく主人公のゼバスティアン・フォン・エッシュブルクの半生が物語の半分を占め、後半にガラリと雰囲気を変えエッシュブルクが殺人罪で起訴され、裁判へと持ち込まれていく過程が描かれています。



エッシュブルクは落ちぶれた旧家の出身であり、プロの芸術的な写真家として活躍するかなり風変りな男性。
万物に人が知覚する以上の色彩を認識し、全てを人と違った目線でとらえています。
子供のころ父親が猟銃で自殺し、住んでいた古い屋敷を母親は売り払ってしまいます。エッシュブルク自身は寄宿学校で暮らしてきたので、完全に確立された自分自身の世界を持ち、再婚して別に暮らしている母親とは疎遠な生活をおくっています。

ある時、若い女性の声で助けを求める緊急電話が入り、捜査の結果、彼女は車のトランクに閉じ込められて殺害されたのだと断定され、エッシュブルクが状況証拠により逮捕されます。

ここで問題なのが「被害者の不在」。
被害者の死体が見つかっていないのに、殺人が起こったと断定できるのか?
です。

事件の弁護は有名弁護士のビーグラーに任されますが、ビーグラーが謎解きをするわけではありません。どちらかというと、本人のビーグラーも認めているように"使い走り"をさせられています。

エッシュブルクは「有罪」か「無罪」かが争点なのですが、このお話は有罪や無罪という観点からは全く離れ、『芸術』を語っていると言えるのではないでしょうか?

そしてエッシュブルクの作品が"インスタレーション ~Installation art" (展示空間全体を使った3次元的表現。空間全体が作品) という言葉で表現されていますが、一言でいうと、この事件全体が世間全体を使ったインスタレーション。
ミステリーではなく、芸術表現なのです。


シーラッハの描く人物は、誰も彼も際立っていて、風変りな一面を持っていたり、規則正しくて忍耐強かったり、何かにのめり込んでいたりと様々です。
人間はそのままの、有りのままの自分でいい。そんな気がします。






Bokeh in Red Photo by Stanly Zimney https://www.flickr.com/photos/stanzim/



"うらを見せおもてを見せて散るもみぢ"
という日本の僧侶、良寛(1758-1831) が死の床で遺した句を「わたしにとって、とても重要な句です」とシーラッハは"日本の読者のみなさんへ"という挨拶のなかで紹介しています。

ひらひらと表も裏も見せて散っていく"もみじ"は死にゆく良寛自身。
自分の裏も表も何もかも隠さずに見せた相手は、介抱してくれていた貞心尼(40才年下です)だそうです。(何もかも見せられてしまうと、疲れてしまう気もしますが。)

こうして、もしかして日本人以上に日本の文化を理解し、取り入れてくれているシーラッハですが、今回の『禁忌』のなかでも、日本のサムライがかつて「自分はもう死んでいる」という言葉とともに起床するのが日課だったという引用があります。
今よりももっと『死』が日常であった時の覚悟です。

2014年12月30日火曜日

『死のドレスを花婿に』『ニコラ・ル・フロック』 ~Nicolas Le Floch 他フランスミステリー ★




最近、北欧ミステリー"Nordic Noir" が大流行りなんですが、フランスミステリーも"French Noir"と言えるのではないでしょうか。


圧倒的にダークな側面を見て、「フランスってこんな国だったんだ・・・」とフランス革命とベルサイユ宮殿、レジスタンス運動ぐらいしか知識のない人間には衝撃的なミステリーの世界が広がっていきます。


【 前回紹介した 『その女アレックス』  ピエール・ルメートル著 】


"このミステリーがすごい!2015年版 海外編" でも堂々の第1位。









これは文句なく、圧倒的に他の作品を上回っていて点数のつけようがありません。
時間をおいて読み返してみると、前回はストーリーに圧倒されて脳内から抜け落ちてしまっていた細かい部分に心が動きます。
特に予審判事のヴィダールはカミーユ警部とそりが合わず、読者としても反感を感じつつ読んでいたのですが、最後の最後で「真実はいったい誰が定義できるのか」、「大事なのは正義ですよ」とさらりと言い放ちます。この軽さがかえってヴィダール判事の"信念の硬さ"を感じさせて感動します。
もちろん、人間の複雑さと深みを一番体現して見せているのはアルマンなのですが。


『女警部ジュリー・レスコー』に出演していたモタ役のアレクシス・デソー
やっぱりアルマンのイメージはこの人です☆彡








【 2009年に出版されていた同じくピエール・ルメートル著の『死のドレスを花婿に』 】








これはルメートルの2作目の作品で、いわば画家の習作のようなもの。
「追い詰められた女性が、逆転劇を演じる」のがモチーフとなっているのがわかります。
同じモチーフを用いて、ドンドン書いてもらってもいいと思うのですが、『その女アレックス』のあとに読むとなんだか少し物足りないかもしれません。

お話は夫や姑、シッター先の子供などが次々に死んでいき、殺人犯として手配される主人公のソフィーと、ソフィーを追う謎の男フランツ、ソフィーを心配する父親のパトリックの三者の間でほぼ展開していきます。
フランツのパートでは、ソフィーの過去の行動をフランツ側からなぞっていくことになるので、新鮮味にかけてしまうのが困りますし、ソフィーの視点から見れば復讐を遂げて"一件落着"なのですが、「ん?殺された人達の家族は真犯人を知らなくていいの?正義は?」という疑問が生じるラストです。
警察の捜査からの視点が入っていれば、より複雑になって面白くなったのではないかと思いますが、そうなると『その女アレックス』と同じような構成になってしまうのかな?と。




【 ジャン=フランソワ・パロ著の『ニコラ・ル・フロック』~Nicolas Le Flochシリーズ 】


フランス国営TVでドラマ化されている、18世紀のフランスを舞台にした王国高等警察の警視が主人公のミステリー。
「ブラン・マントー通りの謎」
「鉛を呑まされた男」
「ロワイヤル通りの悪魔憑き」の3作。








18世紀のフランスの華やかな部分だけでなく影の部分もしっかり織り込まれている、抑えた筆致のとても緻密なミステリー小説です。内容は濃厚でダーク、時代考証もしっかりしており、ミステリー好きの方にはお薦めです。

特に魅力的なのが、主人公のニコラ・ル・フロックが侯爵であり警視(捜査官)でもあるという設定。これだけで、想像力(妄想)をかきたてられてしまいます。Amazon Japanのレビューも☆5を付けている人が多いようです。

原作者のジャン=フランソワ・パロは外交官でもあるそうなので、様々な経験が作品に生かされているのでしょうか。



一方ドラマでは、原作を読んだだけでは想像できない部分が120%補われます。
服装や貴族のお屋敷とその内装、宮殿、パリの街並み。そして、ルイ15世のお化粧!サルティンヌ警察総監もカツラの収集に余念がなく、当時の貴族や紳士たちがお洒落に精を出す様子が活き活きと描かれているのです。
もちろんヨーロッパのドラマは裸のシーンも隠すところなく堂々と出していますので、時々目のやり場に困ることもありますが、小説よりドラマのほうがコミカルな場面を多く盛り込んでおり、よりエンターテイメント性の高いものとなっています。















Season 5  episode10   "小麦粉と陰謀"~Blood in the Flour      馬上の二コラが美しいです








【 『タルタロスの審問官』 他  フランク・ティリエ著 】



フランク・ティリエはかなりダークな側面がある、濃厚なノワール・ミステリー。

フランスって、エスプリばかりじゃない・・・と教えてくれるのがフランク・ティリエ。
『その女アレックス』の中の殺人が残酷過ぎるという意見があるそうですが、そういう人はフランク・ティリエは読めないかもしれません。
残酷な殺し方がたくさん出てくる上に、主人公はこれでもかとトコトン痛めつけられるので、好みは分かれそうです。でも、本の表紙と裏表紙のあらすじを見ただけで"内容と傾向"はわかるので大丈夫!



パリ警視庁警視シャルコの妻シュザンヌが誘拐され6か月が過ぎる頃、パリ郊外で若き未亡人の惨殺された死体が発見される。ロープで緊縛され、皮膚をフックにかけられて眼球をくりぬかれていたのだ。
シャルコは犯人から残酷な殺しを克明に記録したメールを受け取る。中世に異端審問官だった殺人鬼ミカエル神父の再来と名乗る「赤い天使」との戦慄する戦いが幕を上げる。












ティリエは辟易するほど、残忍な殺人事件を連発してきます。読む前に心の準備が必要なぐらいです。たぶん好き嫌いがはっきりと分かれる作家なのではないでしょうか。
とはいえ、ドライでダークなミステリーに浸りたいときにはお薦めです。(最近はTVのスリラーの脚本も書いているそうです。)



✿この他にも『倒錯の罠 女精神科医ヴェラ』 Virginie Brac著、ノワールなサイコ・サスペンスながらユーモアもあるフランス・ミステリーなど多々あります。
フランスにはダークな香りが漂うミステリーが一杯です。


2014年12月23日火曜日

『今日から地球人』 ~THE HUMANS ヴォナドリア星人による報告書



❝人間など作り話にすぎないと信じている皆さん。彼らは実際に存在する。❞


『今日から地球人』 マット・ヘイグ著   ~THE HUMANS      by Matt Haig 



"EARTH" Photo by Beth Scupham https://www.flickr.com/photos/bethscupham/




わたしはその男ではなかった。アンドルー・マーティン教授、ケンブリッジ大学の43歳の数学教授でもない。夫でも父親でもない。
もちろん、地球が実際に存在することは『戦う阿呆たち  ~水の惑星7081の人間たちとの時間』という名高い旅行記を摂取していたので知っていた。

全ては、アンドルー・マーティン教授が「リーマン予想」(←ご存じのとおり、数学における最も重要な未解決問題である)を証明してしまったことから始まったのである。
この難問を解いた結果、人類は誰にも想像出来ないほど進歩するだろう。
だが、われわれヴォナドリア星人はこの危機をアンドルー・マーティン教授の暗殺およびその関係者の暗殺で解決すると決定し、わたしを地球に送り込んだ。人間のような暴力的で強欲な生き物に高度な科学技術を与えて宇宙の平和を乱されては困るからである。



"NHKスペシャル魔性の難問~リーマン予想・天才たちの戦い"  Photo by fuba recoder https://www.flickr.com/photos/fuba_recorder/


しかしながら、首尾よくアンドルー・マーティン教授を抹殺して(抹殺したのはわたしではない)、彼と入れ替わりはしたものの、地球人の習慣や生活は簡単になじめるものではなく、衣服を身に着けなければならないことを知る前に素っ裸でコーパス・クリスティ・カレッジを歩きまわり、もちろんYou Tubeにアップされ、息子だという15歳のガリヴァーの立場をますます悪化させて治安紊乱を犯した結果、病院に放りこまれてしまった。



"Corpus Christi College" Photo by Duncan https://www.flickr.com/photos/duncanh1/




病院に面会にきた妻であるはずのイゾベル・マーティンは、まるでわたしを912,673の立方根(97)であるかのように見る。もちろんわたしもその立方根らしく美しく振る舞おうとした。

ところがである。
「リーマン予想」を証明したことを報告したメールの送付先、ケンブリッジ大学で数学のルーカス教授職にあるダニエル・ラッセルを始末したわたしは、悪夢にうなされた。
そのわたしを気遣うイゾベル(夫婦仲はとっくに壊れているらしい)、学校生活に行き詰って自殺を試みるガリヴァーに、自然となにかしらの感情が芽生えてきたのを報告したい。

その結果、予想もしなかったが、わたしは自分のギフト(触れるだけで人や動物を癒せる、または殺すなど)を手放して、地球人として暮らしていくことを選んだのである。
イゾベルやガリヴァー、犬のニュートンとこの地球で暮らすことを選んだのだ。




"Trisan" Photo by Five Acre Geographic https://www.flickr.com/photos/fiveacregeographic/




けれども当然ながら、ヴォナドリア星人、地球外生命体の星主たちはわれわれを放っといてくれなかった。
イゾベルとガリヴァーを抹殺すべく、またしても暗殺者を送り込んできたのだ。彼らは「リーマン予想」がアンドルー・マーティン教授によって解明されたことなど、全く知らないのに・・・。

イゾベルとガリヴァーを護ることはできたが、結局はヴォナドリア星人であることを2人に告白することとなり、家を出ていくこととなってしまった。
アメリカに渡り、スタンフォード大学で教鞭をとり、わたしは人間であることを学んだ。
酔っ払い、孤独になり、音楽を聴き、夜中に泣いた。
詩もたくさん読んだ。

そして、ケンブリッジに戻った。



地球からヴォナドリア星までの距離


ケンブリッジの家にあるグレープフルーツが太陽だとしたら、地球は葡萄一粒。
ヴォナドリアはニュージーランドに置いたオレンジ。



"Fruity" Photo by Cybergate9 https://www.flickr.com/photos/cybergate9/




ちなみに、人間のコンピューター・ネットワークのあらゆるセキュリティシステムが素数に基づいているため、ハッキングするのはごく簡単である。
ガリヴァーのコンピューターに侵入し、Facebookでガリヴァーをいじめた奴らに仕返しをしたこともここに報告しておきたい。

2014年12月20日土曜日

『ドクター・フー』 ~Doctor Who クリスマス・スペシャル! "クリスマス・キャロル"




イギリスのご長寿SFドラマ『ドクター・フー』 ~Doctor Who

1963年のクラシック・シリーズの開始以来、途中で休憩を挟んで2005年から再開し、現在継続中。







"ドクター・フー"  Doctor Who 



〈名前〉      未公開
〈年齢〉      1000歳以上 (シーズン6、エピソード1では1103歳)
〈出身地〉      惑星  Gallifrey
〈乗り物〉     TARDIS タイプ40     (注:盗んだもの) 
〈愛用品〉     ソニック・スクリュードライバー (多目的に活用できるが、木製家具や木製ドアには効かない)
〈特長〉                  身体をひどく損傷した場合、再生して新しい身体と性格に変わる




あまりにも長く続いているドラマのため、いったいどこから観ればよいのか迷います。
お薦めは"クリスマス・スペシャル"!
UKでは12月25日に"クリスマス・スペシャル"として『ドクター・フー』の特別エピソードを放送しているので、まずはこのスペシャル版から『ドクター・フー』の世界へ入って行きましょう。

独立したストーリー展開なので、事前に『ドクター・フー』に関する知識を持っていなくてもOK!
とりあえず"ターディス"という外見は青い小さなポリス・ボックス、内側は外側よりも広大なタイムマシンで時空や宇宙を旅している異星人ということだけ知っていれば大丈夫。




特にお薦めなエピソードは、『ドクター・フー ニュージェネレーション』の シーズン5、エピソード14、2010年12月25日に放送された『クリスマス・キャロル』です。


この時のドクター・フーは、マット・スミス。
歴代のドクターのなかで最も若いのですが、明るくて笑顔が素敵。あまりダークさが無いのが特長。
「魚のフライにカスタードをつけて食べる」のが好きで、「Bow Tie 蝶ネクタイ」にこだわっています。

4000人の乗客を乗せた巨大な宇宙船が墜落しそうになり、ある惑星に不時着を試みますが、正体不明の霧に阻まれて危険なため、ドクターが惑星の天候を操るカズランという老人の説得を試みます。
老人の心は頑なで、自分の利益になること以外にはなんの関心も持っていないのですが、ドクターは老人の「過去」に係わっていき、「現在」と「未来」を変えていこうとします。
物語のベースはチャールズ・ディケンスの『クリスマス・キャロル』。守銭奴のスクルージが改心するお話です。






【11代目 ドクターに係わる人々、異星人他】



11代目ドクター







ターディス TARDIS  (Time and Relative Dimension in Space )とっても大事なドクターの相棒。
内部は外見よりはるかに大きい宇宙船。
Sheです。






エイミー・ポンドとローリー・ウイリアムズ
再生したドクターが最初に出会ったのが8歳のエイミー・ポンド。
再会後にエイミーとローリーをコンパニオン(旅の仲間)として時空を飛び回るが、悲しい別れが待っています。








クララ・オズワルド (オズウィン)
最初は宇宙船に独りで取り残されたサバイバーとして、ドクターたちを救う女性として出会う。
その時に死んだが、エイミーたちを失い孤独と罪悪感にさいなまれ、心を閉ざしていたドクターの前にヴィクトリア時代の家庭教師の女性として再会。しかし、また死んでしまう。
謎の女性クララは現代のロンドンに生まれ変わり、全ドクターを救う女性となっていた。
12代目ドクターのコンパニオンとして継続して活躍中。









リヴァー・ソング
出生直後にさらわれ、ドクターを暗殺する者として育てられたエイミーとローリーの娘 (エイミーはドクターの義理の母となります)。考古学の教授。
タイムロードの遺伝子を持っている。
ドクターと結婚するが、ドクターを殺した殺人罪で刑務所暮らしをしていた。クララと出会う頃にはすでに死亡している。








コマンダー・ストラックス  Sontaran Strax
クローン化されたヒューマノイド族。惑星Sontar出身。
ドクターの敵と連携したこともあるが、トカゲ女のマダム・ヴェストラの執事としてヴィクトリア時代に落ち着く。
武器、弾薬などをなにかと使用したがる。
(とても馴染みのある顔立ち。萩尾望都さんのSFマンガ『11人いる』 (1976年発行)に出てくるセグル系灰白色星から来たグレン・クロフに若干似ています。萩尾望都さんは、日本でも有数のSF作家だと思っています。)






マダム・ヴェストラ Silurian(Lizard Lady)
ヴィクトリア時代の女探偵として活躍する。切り裂きジャックを始末した。
普段は厚いヴェールを被っているため、素顔を見た人々は卒倒することも。
助手のジェニーと結婚している。









サイバーマン  Cyberman
元々は惑星MONDASのヒューマノイド。
新シリーズでは、地球のパラレルワールドで開発された身体の中に有機体(脳、中枢神経)を残しているサイボーグ。
度々ドクターや地球を襲う。装甲は柔軟性に優れ、銃弾に耐性があるが、金(gold)製の矢や銃弾は貫通してしまう。(金に弱い)。放射能、電磁波にも弱い。

 



ダーレク  Dalek
最も古い敵の異星人。中身は蛸に似ているという。








嘆きの天使  Weeping Angel
瞬きして目をそらすと襲いかかってくる恐ろしい動く彫像。
とても手強く、シリーズ中何度も現れる。エイミーとローリーたちの悲しいエピソードとも大きく係わっている。







ローリーの父、ブライアン
『ブラウン神父』のマーク・ウイリアムズです。それだけで嬉しい。
ドクターと時空を旅したのをきっかけに、世界を旅するのが趣味になる。
エイミーとローリーを最後に送り出す時に「必ず無事に戻ってくるように」と約束したのですが・・・。









10代目ドクターのデイヴィッド・テナントと11代目のマット・スミスが共演する

50th Anniversary "The Day of the Doctor"


まだ日本ではDVDも発売されていないのですが、予告編です。









   とても仲良しなふたり
    デヴィッドはマットを"兄弟のよう"と言っています

Photos by Doctor Who Facebook




✿extra







スティーブン・モファット(制作総指揮者)、プレゼンターのマット・スミスとベネディクト・カンバーバッチ
マット・スミスは、『SHERLOCK/シャーロック』のワトソン役のオーディションも受けたそうです。
スティーブン・モファットはワトソンではなく、ドクターと出会ったのです。