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2015年3月8日日曜日

『Lewis』 オックスフォードミステリールイス警部 最新シーズン8

オックスフォードミステリールイス警部 最新シーズン8、『Lewis』がちょっぴり変化して登場しました!







『主任モース警部』のスピンオフとして始まった『ルイス警部』
『主任モース警部』はコリン・デクスター原作で、一筋縄ではいかないモース警部のお話は謎解きに色々な引用やパズル的な要素が多く盛り込まれ、少々敷居が高いのですが、『ルイス警部』はモース警部に敬意を表しつつ、オックスフォードもたっぷり詰め込んでエンターテイメント性をより高くしたドラマです。
イギリスでも人気が高く、2012年(シーズン7)に"これが最後のシーズンになるだろう"と発表されていたようですが、(シーズン7の最後のエピソードでは"引退するよ・・・"というルイス警部に対して"私も一緒に引退します"としょんぼりするハサウェイ巡査部長という感じで少々寂しい終わり方でした)、第9シーズンまでの制作が予定されているようなので、少なくともあと1シーズンは観ることができます。


第8シーズンでは、主役のはずの"ルイス警部"が引退後・・・趣味のカヌー作りに勤しんでいると、イノセント警視正から「人手不足のため捜査を手伝ってほしい」という連絡が入り、ルイス警部はカヌー作りをちゃっかり投げ出して現場に戻ります。
第7シーズンでは"私も引退します・・・"と悲しそうなハサウェイ巡査部長でしたが、無事にルイス警部のあとを引き継いで"ハサウェイ警部"に昇格。しかし、他人に捜査を任せきれず、肩に力が入りすぎているハサウェイ。そんなハサウェイのために、ガス抜きも兼ねてルイス警部が帰ってきたのでしょうか。

しかし、ハサウェイ警部はルイス警部を尊敬し、慕っているので彼のリターンが嬉しい反面、捜査をリードするのは自分であるという自負があるのでかなり複雑な心理状態となっているようです。
また、ルイス警部もついついリードをとってしまいそうになるので、自分を抑えるのが大変そうです・・・。

ルイス警部からにじみ出る"安定した人柄の良さ"が物語の基盤を明るいものにしていたのだと思いますが、今シーズンではハサウェイ警部に焦点が当たっているので、若干暗めの印象を受けます。




ルイス警部役のケヴィン・ウェイトリー




モース警部と若き日のルイス警部






第8シーズンで最も印象的 なのはエピソード3『善悪の彼岸』  Beyond Good and Evil。
13年前に起きた3人の警察官殺害事件で医療刑務所に収容されていた殺人犯のローリーが、DNAの科学捜査ミスや供述書の未提出により、控訴審が行われ、釈放されてしまいます。
同時に制服警官が13年前と同じ手口で殺害され、巡査部長のマドックスも襲われて意識不明になり、コピーキャットなのかあるいは真犯人は他にいるのではないかとの疑いが出てきます。
ローリーを逮捕したルイス警部は絶対の自信を持っていますが、対するハサウェイはニュートラルな視線で事件をとらえ、ローリーが無実である可能性も探ります。

これは以前に紹介したミステリー、ヨルン・リーエル・ホルスト作の『猟犬』と似ている設定ですが、過去の事件の裁判結果が覆され、あきらかに有罪と思われた犯人が釈放されることは、警察にとって最悪の悪夢。きっと、賠償金も要求されたり、自伝も出されたりするのでしょう・・・。

結局、釈放されたローリーは、けんもほろろに突き放した共犯者の女性に殺され、ローリーがやはり有罪であったことも証明されて、ルイス警部とハサウェイ警部の捜査は終了します。




ハサウェイ警部役のローレンス・フォックス




ローレンス・フォックスの奥さまはビリー・パイパー。『Doctor Who』のローズです。
結婚式にデイヴィッド・テナントが出席しています。









デヴィッド・テナントです。  ワインカラーの装い





にこやかな笑顔のルイス警部、ケヴィン・ウェイトリーも出席 ドラマの姿と変わらないのが嬉しい♡

2015年2月23日月曜日

『ジャーナリスト事件簿』 ~匿名の影~ ノルウェイ・サスペンス Norwegian Mystery Drama "MAMMON"


WOWOWで放送された海外ドラマ、ノルウェイ・サスペンス

『ジャーナリスト事件簿』 ~匿名の影~   "MAMMON"






原題は『MAMMON』
(悪、腐敗の根源としての)富、金、強欲、貪欲。
不正な富を表す言葉。


Sascha Schneider Der Mammon und sein Sklave.jpg
"Sascha Schneider Der Mammon und sein Sklave 金銭とその奴隷" by Sascha Schneider - Schmidt Kunstauktionen. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.




全6エピソードを熱心に観てしまいましたが、

①話が複雑で入り組んでいて全部理解できたか?否か?不安 
②ノルウェイ人を見慣れていないので、人物の見分けがつかないときもあり、???謎が増えた。

のですが、そんな中、主役の元経済部記者(現在はスポーツ部に所属)のペテル・ヴェロスのお顔は抜きんでて・・・ハンサムとはいえず、「この人が主役?」という疑問が最初のころは付きまとっていましたが、話が進むにつれて納得しました。
すごく見分けの付きやすいお顔なんです!
どんな中にいても、ペテルはペテル。わかりやすいです。



【人物紹介】
ペテル・ヴェロス(Peter)         ・・ノルウェイのアフテンアブセン新聞の元経済部記者
ダニエル・ヴェロス (Daniel)        ・・大手金融会社役員
エヴァ・ヴェロス(Eva)          ・・ダニエルの妻、会計士
アンドレアス・ヴェロス(Andreas)    ・・ダニエルの息子
トーレ・ヴェロス(Tore)                       ・・ダニエルとペテルの父、牧師
ヴィベケ(Vibeke)                                ・・犯罪捜査局の捜査官だったが、退職、広場恐怖症
オーゲ・ハウゼン(Age)                      ・・ダニエルの大学の同窓生、横領を暴かれる
ギスレー・エイエン(Gisle)                 ・・ダニエルの大学の同窓生、ペテロに警告を送る
ロアル・オストビー                    ・・ダニエルの大学の同窓生
トム・リード(Tom)                                  ・・億万長者
ヨン・ステーンスル(Stensrud)          ・・トム・リードの友人の裕福なビジネスマン
マティーセン (Mathiesen)                 ・・経済部のニュース・エディター、ペテルの友人であり上司
インゲル・マリエ(Inger Marie)         ・・経済部記者
経済犯罪局局長(Economic Crime Boss) ・・氏名不詳      



お話は原題『MAMMON』に象徴されるように、"不正な蓄財"、"強欲"にかられて罪を犯す人々にペテルたちが巻き込まれていくというストーリー。
ペテル・ヴェロスはノルウェイの新聞社、「アフテンアブセン」の経済部記者で、匿名の情報提供者から情報を受けとり、自らの兄である大手金融会社役員のダニエル・ヴェロスの2,300,000クローネの横領を暴いていた。
だがダニエルは「息子アンドレアスの面倒を頼む」とペテルに依頼し、ガレージでピストル自殺をしてしまう。
横領で刑務所に2年ほど入ることよりも、自殺を選んだ兄ダニエルにショックを受けるペテルだったが、さらなる調査の結果、ペテルの情報提供者の「ソフィア」とは兄自身であることがわかり大きな謎が残ることになる。
このときペテルは経済捜査局の捜査官ヴィベケと出会い、交際を始めるが3年で別れることに・・・。

5年後、経済部を離れていたペテルはオーゲ・ハウゼンの横領に関する暴露記事が準備されていることを知り、ハウゼンの身を案じる。
そんなときダニエルの弁護士からペテルとダニエルの妻であるエヴァ・ヴェロスあてにスーツケースが持ち込まれる。足ひれやシュノーケルなどのダイビング用品とともに、特定の時間に特定の場所に行くように指示があり、泳げもしないペテルが砕石場のため池(?)に潜って調査していると、なんとオーゲ・ハウゼンが車ごと飛び込んできた!
ペテルはため池に沈む車からオーゲ・ハウゼンを助け出したが、「アブラハム」と言い残してオーゲは二人の目の前でピストル自殺をはかり死んでしまう。

謎の言葉「アブラハム」
牧師である父トーレの教会にダニエルが寄付した『息子を犠牲にするアブラハム』の絵画とオーゲの最後の言葉から、2人の死は息子を犠牲にしない=息子を殺させないための自殺ではないかとペテルは推測する。

オーゲ・ハウゼンの記事を書くために経済部に戻ることを希望したペテルだったが、編集長に却下され、「解雇する」と言われてしまう。しかし、同僚のインゲル・マリエの得たオーゲ・ハウゼンの情報はオーゲに成りすました者から送信されていたことがわかり、さらに添付ファイルには「パパ」と叫ぶ小さな子供が火事に合い殺される場面の映像がUPされていた。

億万長者トム・リードの主催するチャリティ・パーティにエヴァと出席したペテルに匿名の電話がかかり、発信者を調べると、ギスレー・エイエンという男であることが判明したが、ギスレー・エイエンもペテルの目の前で列車に飛び込み自殺してしまい、ペテルは大きなショックを受ける。

経済犯罪局を退職していたヴィベケはペテルを助け、ダニエルの息子アンドレアスとともにダニエルの出身大学に捜査に向かう。自殺したダニエル、オーゲ、ギスレーたちは皆この経済大学の卒業生であり、なんらかの陰謀があることが判明するが、帰宅途中でアンドレアスが拉致され、ヴィベケはパニックに陥ってしまう。

一方、教会に寄付されたアブラハムの絵画の後ろに書き込まれたダニエルの言葉から、10月22日に子供とともに殺されたもう一人の犠牲者が浮かび上がってくる。
ロアル・オストビーという男性とその息子は、ウスタオセの山荘に滞在していた時に残酷に殺され、火事になった山荘はギスレーの会社名義で建て直されていた。
この山荘にアンドレアスが監禁されているのではないか?と推測し、ペテルとエヴァは雪深い現地に赴く。
だが、殺し屋たちに見つかり放火されて命からがら逃げ出すが、アンドレアスは見つからず、ロアル・オストビーと息子が殺された元の映像が発見され、ダニエルやオーゲ、ギスレーを含む大勢人間が陰謀に係わっていたことが確実となる。

ヴィベケのアパートに向かったペテルは、殺し屋たちの罠にかかり、ヴィベケを殺されてペテル自身が殺人者であるかのような証拠をねつ造され指名手配されてしまうが、上司であり友人であるマティーセンと億万長者のトム・リードの助けを借り、ベルケルの経済大学の教授からインサイダー情報を使った不正な蓄財を長年続けているグループの情報を得る。

殺し屋にひき逃げされたエヴァから情報を入れたメモリースティックを得たペテルは、トム・リードを信用して彼に手渡すのだが、メモリースティックは敵の手に渡ってしまいトム・リードも殺される。

殺し屋たちから追われ続けるペテルは、ヴィベケの犯罪捜査局時代の元上司の局長に助けられてトム・リードの仲間のビジネスマン、ヨン・ステーンスルのもとへ向かう。
信頼できると思われたヨン・ステーンスルだったが、彼も経済大学の同窓生であり、インサイダー取引で不正な取引をしていたグループの主要な人物であることがわかり、危機に陥る。

「ヴェロス家のものには苦しめられたよ」というステーンスル。
ステーンスルに銃撃されたペテルは、陰謀に係わったダニエルがロアル・オストビーとその息子が残酷に殺された結果、グループから足を洗うために横領を仕組んで自殺したことを聞かされる。ヴィベケを殺したのは「私の意思ではない」と語ったステーンスルが振り向いた瞬間、ペテルの携帯を追跡していた犯罪捜査局の局長が、ステーンスルの屋敷に乗り込んできてステーンスルに銃を向ける。
同時に現れた殺し屋たちも、トム・リードから奪ったメモリースティックを入手して確認した映像から、自分たちの依頼主(ステーンスルたち)が子供殺しであることを知り、あっさりとステーンスルの頭を打ち抜いて殺してしまう。
デンマークからやってきた殺し屋は、「彼はわたしが最も軽蔑を抱く、倫理に反した人間だ」「もう我慢ならん、リストだ。残り9人の名前が載っている」と、驚くペテロにリストを渡してアンドレアスの無事を告げ、「子供は殺さない、決して」「あの男(ステーンスル)も、もう手は出せない」とさっさと立ち去っていく。「こんなひどい国、早く離れましょう」と言いながら・・・。

90年代半ばからインサイダー取引を行っていたグループが無事に逮捕され、一見落着かと思われたが、その5か月後。

気候のよいカリブ海のグレナダ島で休暇を過ごしていた経済犯罪局の局長(ヴィベケの元上司)のもとに、ペドロとマティーセンが訪れる。
捜査を重ねた結果、消えてしまった大金を持っているのは彼女であり、ロアル・オストビーの内部告発をもみ消し、インサイダー取引を行っていたグループの仲間であることが解明したのだ。
そして、ペテロの恋人だったヴィベケが経済犯罪局での捜査で真相にせまるたびに、罠をしかけてヴィベケの不安をあおり、精神的に不安定な状況に追い込んだのも彼女であると告げて、ペテロの長い捜査は終了する。



とっても入り組んでいて複雑、かつ楽しめるミステリー・サスペンス。
レッドへリングとして、マティーセン(味方だが、時々怪しそうな電話をかけていた)、インゲル・マリエ(味方のはずだったが、ペテルの居場所を警察に密告、怪しい電話もかけていた)、トム・リード(すごく怪しそうな億万長者で黒幕に見える)らが使われていて惑わされます。



ここで重要なのは

✿ペテロの兄のダニエルが、牧師である父トーレから集中して虐待を受けていたこと。子供時代からの非常に残忍な虐待により、心が歪み、道徳心が失われていったことが母親がのこした日記から読み取れます。

✿「決して子供は傷付けない」は次々に標的である人々を殺していったデンマークからやって来た殺し屋の『倫理』であり、ダニエルやオーゲ・ハウゼン、ギスレー・エイエンらが自殺することを選んだ原因。何度もドラマの中で取り上げられている"アブラハム"が子供のイサクを犠牲にしようとした事柄と絡んでくる大事な要素です。


そして残る疑問が

"ダニエルとオーゲ・ハウゼンは自殺の場所、時間をあらかじめ計画してスーツケースのなかにヒントを仕組んだの?" 答えは出てこなかったと思います。

"なぜダニエルとペテルは全く容姿が似ていないの?ダニエルは父親似で、ペテルは母親似という設定?" 面白いほど似ていない兄弟です・・・。

"経済犯罪局の局長は、氏名不詳?" 名前が最後までわかりませんでしたよ~


でも、本当に面白くて複雑なドラマです。



"Norwegian Flag" Photo by Lemsipmatt https://www.flickr.com/photos/lemsipmatt/



2015年2月8日日曜日

限りなくストイック ! 『猟犬』 ~JAKTHUDENE ノルウェー・ミステリー 

北欧ノルウェー・ミステリー  『猟犬』  ヨルン・リーエル・ホルスト作 






翻訳ミステリー界で大流行している北欧ミステリー。
実は昔からマイ・シューヴァル&ペール・ヴァールーの"マルティン・ベック" シリーズ、ヘニング・マンケルの"マルティン・ベック" シリーズなどが手堅く愛されてきました。最近では、スティーグ・ラーソン、ユッシ・エズラ・オールスンも大人気です。



"ガラスの鍵賞" を受賞している『猟犬』。
この賞を受賞している=「読み応えがあり、絶対におもしろい」のお墨付きを得ているといっても過言ではありません。


舞台はノルウェー、オスロから南西100kmほど離れた人口23,000人程度の小さな街ラルヴィク。
主人公のヴィリアム・ヴィスティング警部は警察に勤務して31年のヴェテランであり、落ち着いた堅実な生活を送っています。
ある日、17年前にヴィスティングが捜査の指揮をとり解決した「セシリア」事件でDNA鑑定の偽造があったという告発が起こされます。
当時の捜査責任者として、最も疑わしい人物とみなされたヴィスティングは副署長のヴェッティから即時停職処分を勧告され、警察官の身分を停止されることになってしまいます。

一方、もう一人の主人公といえるタブロイド新聞の事件記者であるヴィスティングの娘のリーネは、逆境に陥った父のことを心配しながら、オスロ湾を挟んで対岸に位置する土地で起きた殺人事件を取材していました。

リーネの本音は自分が追っている殺人事件が大きな扱いになれば、父の責任を追求する記事を新聞の第一面から締め出せるかもしれない・・・というものでしたが、取材の過程で被害者の飼い犬のマイクロチップから自宅の住所を探り出して被害者宅を訪れた際に家宅侵入犯に遭遇してしまい、自身も事件に巻き込まれていきます。

そして当初はまったく異なるふたつの事件と思われていたものが次第に絡み合い、大きなひとつの事件となっていきます。

17年前の「セシリア」事件でDNAの証拠偽造はあったのか?
偽造があったとしたら、その犯人は誰なのか?姪が18年前に行方不明になった元警官のロベック?同僚のハンメル警部
「セシリア」事件で有罪となったハーグルンは無罪なのか?偽造された証拠の有無に関係なく有罪か?
リーネが追いかけている殺人事件の被害者は「セシリア」事件の真犯人なのか?

が焦点となっていきます。




ヴィスティング警部は取材されて鋭い追求を受ける側、娘のリーネは追求する側です
Crackdown Kjelsas Photo by Casper Kongstein  https://www.flickr.com/photos/kongstein/





「静」の人ヴィスティング警部は、持ち帰った捜査資料を丁寧に読み返しながら (特に昔の関係者や被害者家族に接することもなく)、何かおかしな点を資料からじっくりと探っていきます。
ときには隣家の少年のサッカーボールを拝借してちょっとしたトリックを使って (身分停止中なので、本来なら入ることが許されない)警察署に忍び込み、「セシリア」事件に関連した過去の事件の捜査ファイルを持ち出したりするのですが、このシーンの描写が非常に詳細です。
「どうやって取材しているんだろう?」と疑問に思っていたのですが、実は作者のヨルン・リーエル・ホルスト自身が2013年まで現役の警察官だったということで、納得しました。

そしてリーネ達 "タブロイド新聞" 記者が事件の証拠や情報をつかむテクニックも非常に面白く、警察の記者会見でテーブルに置かれていた警察の発表資料を望遠レンズで撮影して詳細な情報をゲットしたり、監視カメラのデジタルの映像を写真に撮ってちゃっかり持ち帰ったりします。
また、「これから法を犯すであろう」犯人を徹底的に尾行するリーネ達のテクニックもプロフェッショナルでとってもシステマティック!
これらも現役の警察官の実体験から書かれているのでしょう。



冤罪もの(ヴィスティング警部に対する)のミステリーですが、ヴィスティング警部の静かで落ち着いた心の動きとリーネの存在感や活躍が素晴らしく、「何で自分がこんな目に・・・」なんていう鬱々した部分は少なく、ヴィスティング警部とリーネともども私生活での波乱もありますが、最小限度に抑えられており、ミステリー自体を楽しむことができる作品です。


とにかく「限りなくストイック」で「プロフェッショナル」なヴィスティング警部とリーネです。




Norwegian Police
Crackdown Kjelsas Photo by  Casper Kongstein https://www.flickr.com/photos/kongstein/



Alesund  オーレスンの街 人口45000人 ラルヴィクはもっと小さい街です       
Alesund Photo by Florian Seiffert  https://www.flickr.com/photos/seiffert/



2015年1月25日日曜日

『HANNIBAL』 Season 3予告編とマッツ・ミケルセン            Mads Mikkelsen♡



2015年の夏、『HANNIBAL』 Season3 が始まります。


日本はまだシーズン1のDVDレンタルまでこぎつけたばかりですので、気が早いのですが。
シーズン3のオープニングでは、ハンニバルはDr.ベディリア(Bedelia)とヨーロッパに滞在し、新たな被害者をハンティングしているようです。そしてウィルが彼の弟子にならないことに傷ついているハンニバル。












こちらが予告編。
ハンニバル(マッツ)のレザージャケット姿が嬉しいです。前髪もおろしているので、とってもナチュラルなマッツを見ることができます♡

ウィルがハンニバルに「許すよ」と言っています・・・。






























そして、シーズン3ではフランシス・ダラハイド役でリチャード・アーミテイジが出演することに!
"Tooth Fairy"と呼ばれる、人間を噛み切って殺すシリアルキラーです。

原作にも出てきた殺人鬼で、このドラマが原作の『ハンニバル・ライジング』『レッド・ドラゴン』などから忠実にエピソードを制作しているのがうかがえます。





リチャード・アーミテイジは映画『ホビット』の出演で有名ですが、私にとっては『MI5』のルーカス・ノース。
それにしても、ウィル(ヒュー・ダンシー)はイギリス人、ハンニバル(マッツ・ミケルセン)はデンマーク人、リチャードもイギリス人。アメリカのドラマで、アメリカのミステリーが原作ですが、自由な発想でドラマの世界を膨らませていく制作陣を尊敬してしまいます。







All photos by HANNIBAL Facebook



マッツ・ミケルセンの主演ドラマでお薦めなのが、『UNIT ONE』
デンマークのドラマで、シーズン4まで制作されています。
DVDがAMAZON.UKで英語字幕ありで販売されているので、パソコンなどでヨーロッパのDVD
を見ることができるなら、たっぷりとマッツ・ミケルセンを楽しめます!

マッツ・ミケルセンはレザージャケットを愛用する、ちょっぴりはみ出している刑事の役。
結婚して息子もいますが、つい他の女性と関係を持ち離婚、最終シーズンでは刑務所に半年間も囚人としてもぐりこみ、潜入捜査を行っています。
お話は、①事件が起きる②証拠をつかむ③容疑者を捜索・・・という感じに進行して妙なトリックもなく、シンプルに流れていき、英語字幕も簡単です。
『HANNIBAL』では見られない笑顔や自然な仕草が嬉しいドラマです☆彡




『強襲』 ~GAMBLE  新・競馬シリーズを応援します!


Horse Racing photo by Paul https://www.flickr.com/photos/vegaseddie/




日本で"競馬" といったら、競馬新聞片手にオジサン連中が一喜一憂しているギャンブル…というイメージしか湧かないのですが、UKでは違います。確かにギャンブルですが、もっとスポーツに近いもの。

ディック・フランシスの"競馬シリーズ" ミステリーは、私にとってシャーロック・ホームズやアガサ・クリスティを読み終えた後にたどり着いた最初の海外ミステリー。

コナン・ドイルやクリスティはミステリーの教科書的存在なので、その先のステップをなぜディック・フランシスに踏み出したのかは「?」なんですが(たぶん凄く流行っていたのだと思います)、『大穴』『興奮』『利き腕』などなど、夢中になって読んでいました。

けれどもディック・フランシスの高齢化に伴い、物語の勢いがなくなっていき、最近まではご無沙汰していました。フランシスの息子さんとの共著が出版されているのは知っていたのですが、過去の作品の良さを知っているからこそ、手が出ませんでした。

そして2012年にディック・フランシスが亡くなり、(R.I.P.)、その後に次男のフェリックス・フランシスが出した"新・競馬シリーズ"、『強襲』 ~GAMBLE です。










本屋で見かけて、訳者の後書きに「本書が売れてくれれば、この"新・競馬シリーズ"が続けて翻訳されることもあり得るだろう」と書かれていたので、応援の意味を込めて購入しました。
・・・「翻訳ミステリーを取り巻く状況は厳しいので・・・」とも書かれてあり、そういえば最近海外ミステリーの棚が狭くなっているので、海外ミステリーファンとしてはちょっぴり危機感を感じます・・・

内容はまさにディック・フランシス風をそのまま踏襲した文体で、主人公はストイックな元競馬騎手であるファイナンシャル・アドバイザーのニコラス・フォクストン
グランドナショナル観戦中の彼の真横で同僚が射殺される。
フォクストンはこの同僚のインターネット・ギャンブルの借金返済に遺言執行者として頭を悩ませつつ、顧客の陸軍大佐から投資先のブルガリア土地開発の詐欺に関する相談を持ち込まれて調査していくうちに、さまざまな事件に巻き込まれていき、恋人や母親とともに暗殺者に命を狙われてしまう・・・というストーリーです。

同棲中の恋人の心変わりを疑ったり、年上の魅力的な調教師の女性から誘惑されたりとロマンスの方面でも頑張っています。

これはパスティーシュではなく、フランシス家の「ファミリー・ビジネス」。
なので、どこも変える必要はないのですが、どこまでもストイックに押しまくる主人公だけでなく、例えば個性豊かな女性警察官、検察官、検視医等々・・・を登場させればもっとひねりが加わっていいかもしれません。
最近のミステリー・ドラマでは強烈な個性の女性刑事が活躍しています。
『Closer』『VERA』『第一容疑者』『New Tricks』。
フランシスの物語の中では、女性はあくまでも守護される立場のみなので、そこがちょっぴり物足りないかな・・・と思います。

でも、「一文も読み落とせない」ほどではありませんが、この先どうなるのかが気になって読みすすめていくことが出来る本でした。


フェリックス・フランシス、頑張ってください!



Over Turn Race Horse Photo by Paul https://www.flickr.com/photos/vegaseddie/

2015年1月11日日曜日

『ナイトメア ~血塗られた秘密』 Penny Dreadful  3月からの新番組 エピソード1放送!



『ナイトメア ~血塗られた秘密』、"Penny Dreadful" のエピソード1がwowowにて放送されました。




3月放送スタートのドラマなので、超先取りのお試し放送です。
『ナイトシフト 真夜中の救命医』の続きでぼんやり見ていたら、とっても面白いドラマで目が覚めました!
(『ナイトシフト』は気恥ずかしいぐらいの型にはまった医療ドラマ。主人公がアフガニスタン帰りという点は新しいです・・・)






















BBCの制作だと信じ込んでいたら、MADE IN USA でビックリ。
画面の暗さ(ロウソクやオイルランプの灯りだけでの生活が彷彿とされます)、セリフでなく行動でみせる進行状況、ヴィクトリア時代のダークな雰囲気そのまま。











【エピソード1】
"切り裂きジャック"が跳梁跋扈していた時代、ついでに言うとシャーロック・ホームズが活躍していた時代("緋色の研究"が1881年)のロンドンでは怪奇現象が相次いでいた。
アメリカ出身の曲芸撃ちのガンマン、チャンドラー(J.ハートネット) はミステリアスな美女ヴァネッサマルコム卿からある夜の仕事を依頼される。
真夜中に向かった先に待っていたものは、異様な姿の生き物。彼らはヴァンパイアの巣に踏み込んでいたのだ。
マルコム卿が殺したヴァンパイアの一体を解剖すると、甲羅を伸ばしたような皮膚の下にはヒエログリフの文字が描かれており、出典はエジプトの"死者の本"からであることが確認されたが、結局、探していたマルコム卿の娘は見つからず、次の興行先のパリへと向かうはずのチャンドラーだったが・・・。




画面左下がヒエログリフ





チャンドラー。ジョシュ・ハートネットです。女性にもてる明るい瞳のガンマンですが、名家の出身で暗い秘密を抱えていそうです。
ハリウッドから遠ざかっていたらしいのですが、存在感があります。
ただのイケメンではない。






ミステリアスで危険な美女、ヴァネッサ。
鋭い観察力を持っています。
エヴァ・グリーンです。






消えた娘を探すマルコム卿。
アフリカを探検していた有名な探検家。過去の過ちを正すことになる。
ティモシー・ダルトン。貴族のオーラがあります。








外科医のヴィクター・フランケンシュタイン。
ハリー・トレダウェイ。
マルコム卿たちが殺した異世界の怪物を解剖したあと、ついうっかり?フランケンシュタインを作ってしまったようです・・・。







ブローナ・クロフト。貧しいアイルランド人で、辛い過去から逃れてきた女性。エピソード2から出演。
イーサン・チャンドラーと絡んでいきます♡  ブローナはゲール語で"悲しみ"という意味。
『ドクター・フー』でデイヴィッド・テナントのコンパニオンをしていたローズ役のビリー・パイパーです!
こんなところで会えるなんて感激。








ドリアン・グレイ。死ねない耽美な人。途方もなく裕福だそうです。こちらもエピソード2から出演。
リーブ・カーニー。
美しい。








フランケンシュタイン、ドリアン・グレイ、ヴァンパイアと戦うヴァン・ヘルシングなどが盛りだくさんに詰め込まれていくらしい、ワクワクするファンタスティック・ホラー。
落ち着いたドラマなので、3月からの放送がとても楽しみです。
何やら税金の関係で、ロンドンではなくダブリンで撮影しているそうです。



ALL PHOTOS BY PENNY DREADFUL FACEBOOK

『禁忌』 フェルディナント・フォン・シーラッハ ~"TABU" Ferudinanndo von Schirach


フェルディナント・フォン・シーラッハの新刊、『禁忌』 ~"TABU"











問答無用ですぐに手にとり、購入するのがフェルディナント・フォン・シーラッハ。
そしてこの『禁忌』は、「法廷劇」や「謎解き」だけではなく完全に"文学"な作品です。
静かに語られていく主人公のゼバスティアン・フォン・エッシュブルクの半生が物語の半分を占め、後半にガラリと雰囲気を変えエッシュブルクが殺人罪で起訴され、裁判へと持ち込まれていく過程が描かれています。



エッシュブルクは落ちぶれた旧家の出身であり、プロの芸術的な写真家として活躍するかなり風変りな男性。
万物に人が知覚する以上の色彩を認識し、全てを人と違った目線でとらえています。
子供のころ父親が猟銃で自殺し、住んでいた古い屋敷を母親は売り払ってしまいます。エッシュブルク自身は寄宿学校で暮らしてきたので、完全に確立された自分自身の世界を持ち、再婚して別に暮らしている母親とは疎遠な生活をおくっています。

ある時、若い女性の声で助けを求める緊急電話が入り、捜査の結果、彼女は車のトランクに閉じ込められて殺害されたのだと断定され、エッシュブルクが状況証拠により逮捕されます。

ここで問題なのが「被害者の不在」。
被害者の死体が見つかっていないのに、殺人が起こったと断定できるのか?
です。

事件の弁護は有名弁護士のビーグラーに任されますが、ビーグラーが謎解きをするわけではありません。どちらかというと、本人のビーグラーも認めているように"使い走り"をさせられています。

エッシュブルクは「有罪」か「無罪」かが争点なのですが、このお話は有罪や無罪という観点からは全く離れ、『芸術』を語っていると言えるのではないでしょうか?

そしてエッシュブルクの作品が"インスタレーション ~Installation art" (展示空間全体を使った3次元的表現。空間全体が作品) という言葉で表現されていますが、一言でいうと、この事件全体が世間全体を使ったインスタレーション。
ミステリーではなく、芸術表現なのです。


シーラッハの描く人物は、誰も彼も際立っていて、風変りな一面を持っていたり、規則正しくて忍耐強かったり、何かにのめり込んでいたりと様々です。
人間はそのままの、有りのままの自分でいい。そんな気がします。






Bokeh in Red Photo by Stanly Zimney https://www.flickr.com/photos/stanzim/



"うらを見せおもてを見せて散るもみぢ"
という日本の僧侶、良寛(1758-1831) が死の床で遺した句を「わたしにとって、とても重要な句です」とシーラッハは"日本の読者のみなさんへ"という挨拶のなかで紹介しています。

ひらひらと表も裏も見せて散っていく"もみじ"は死にゆく良寛自身。
自分の裏も表も何もかも隠さずに見せた相手は、介抱してくれていた貞心尼(40才年下です)だそうです。(何もかも見せられてしまうと、疲れてしまう気もしますが。)

こうして、もしかして日本人以上に日本の文化を理解し、取り入れてくれているシーラッハですが、今回の『禁忌』のなかでも、日本のサムライがかつて「自分はもう死んでいる」という言葉とともに起床するのが日課だったという引用があります。
今よりももっと『死』が日常であった時の覚悟です。